借金苦から逃れるために夜逃げを選ぶ人がいますが、それによって借金問題が解決することはありません。
ここではなぜ借金問題が解決しないのか、夜逃げするとどのような状態に追い込まれてしまうのかについて説明し、夜逃げ以外の解決方法をご紹介しています。
借りたお金を返せなくなって、家賃を払えないような状況にまで追い込まれたときに「夜逃げ」というキーワードが頭に浮かんだことのある人もいますよね。
苦しみに耐えられなくなって、すべてを捨ててしまったら楽になれる。
そんな思いで夜逃げする人が後を絶ちませんが、借金問題の解決として、夜逃げは1番やってはいけないことになります。
夜逃げをしても何も解決にならないどころか、いま以上の苦しみが待っています。
ここでは、夜逃げすることでどのような未来が待ち受けているのかをご紹介し、なぜ問題解決にならないのかをわかりやすく説明していきます。
借金問題で自殺まで考えてしまっている方は、こちらを一読してください。
【結論】夜逃げでは借金は解決しない
夜逃げをしたときには、住民票を動かすことができないため、国や自治体などからの郵便物が届かず、運転免許証の更新ができなくなったり、年金を受け取れなくなったりと不便な生活を強いられることになります。
借金の時効は5年ですが、裁判になると時効が10年伸びるため、最大15年間逃げ続ける必要があり、その間はまともな仕事に就くこともできず、親しい友人や家族と連絡を取ることもできなくなってしまいます。
夜逃げをして借金問題が解決したケースはほとんどありません。
借金苦で夜逃げを考えているのであれば、夜逃げではなく弁護士に相談して、借金問題を解決してもらいましょう。
夜逃げするとどうなるの?
借金を返せなくなった人が最後の手段として考えてしまう夜逃げ。
しかし、夜逃げには以下のような大きな問題点があります。
夜逃げとは、なんらかの理由で周囲や関係者に連絡せずひっそりと引っ越すことです。
関係者に引越し先を知られてはならないので、当然住民票を移すことはできず、生活に必要な行政サービスも受けられません。
さらにどこから自分の居場所がバレるかも分からないため、周りの人に知らせることもできず、すべてを放り出して急に失踪するかたちになってしまいます。
夜逃げをするとご自身や周りの人にどのような問題が起こるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
住民票を移せない
借金に追われて夜逃げをするとき、まず直面する大きな問題が「住民票」です。
前述したとおり、夜逃げをするときに住民票を新しい住所に移してしまうとその履歴を見られて新しい住所がバレてしまう恐れがあります。
そのため夜逃げするとなると、住民票は移さないで引っ越さなければいけません。
住民票が移せないくらい何も問題ないと思うかもしれませんが、実は住民票を移せないことで生じる問題はかない多いです。
- 運転免許証の更新ができない
- 国や自治体の支援やサービスを受けられない
- 旧住所に届く郵便物の受け取りができない
- 新住所で確定申告ができない
- 投票権がなくなる
- 年金を受け取れなくなる
- 生活保護を受けられない
- まともな仕事に就けない
- 銀行口座を作るのが難しくなる
住民票を移さない場合には、まず運転免許証の更新ができません。
そして、国からの郵便物がすべて前の住所に送られてきます。
そのため国や自治体のサービスを受けることが困難になり、選挙の案内も送られてきませんので投票権がなくなります。
そしてさらに大きな問題が身分証明書を失うことです。
住民票を移せないため、運転免許証を含めた現住所での身分証明書を発行することができません。
そうなってくると何をするにしても制限がかかります。
当然、年金を受け取ることもできなくなりますし、生活保護を受けることすらできません。
新たな仕事に就くことも難しい
また、仕事に就くときには住民票の提出を求められるのが一般的です。
たとえば東京から福岡に夜逃げした場合、福岡で就職するのに住民票が東京になっていたら会社は不審に感じますよね?
その件について、適切な答えが返せなかったり夜逃げしたと答えたりすると、採用してもらえない可能性が高いです。
さらに夜逃げすると既存の銀行口座は差し押さえされますが、身分証明書の住所と現住所が一致していないので新しい口座を作ることもできません。
仮に仕事に就いても給料の振込口座が用意できなくなるわけです。
このように住民票を移せないことで、普通の人があたり前にやっていることのほとんどができなくなってしまいます。
夜逃げでどんな人に影響があるか?
天涯孤独というのであれば、夜逃げをしても誰にも迷惑をかけることがないかもしれませんが、ほとんどの人は夜逃げによって周りの人に多大な迷惑を掛けることになります。
どのような人に迷惑をかけるのか見ていきましょう。
家族や親族
夜逃げをする場合には親にも連絡せずに逃げる必要があります。
逃げるということを伝えても構いませんが、どこに逃げるのかという話をすることはできず、夜逃げをしたあとは一切連絡を断たなければいけません。
夜逃げがあったとき、債権者はまず実家に連絡をします。
実家に逃げている可能性が高く、何らかの手がかりが残っている可能性があるためです。
親や親族は不安に感じて過ごすことになりますし、親が保証人になっている場合には、親が借金を返済しなくてはいけなくなります。
保証人
借金をするときに保証人になってくれた人がいた場合、夜逃げすると保証人に請求が行きます。
借金に保証人がいないケースでも、賃貸物件を借りたときに保証人を付けた場合は、夜逃げしたときに未納になっている家賃の支払いや荷物の撤去が求められます。
自分を信頼して保証人になってもらったのに、恩を仇で返すような状態になり、しかもその保証人にも連絡ができませんので、後ろめたい気持ちをずっと背負い続けることになります。
腹立つので吐きます!
元友人の賃貸の連帯保証人になってましたが先日夜逃げされました💢
あの部屋で不特定多数と営みに興じていた事については憤慨という言葉ではおさまらないですが良い社会勉強になりました💢💢
仕事中に返済計画立てるくらい自分でも只では倒れないなと自己肯定感が上がりました💢 pic.twitter.com/taIMLO5TCF— カナエ (@carocaccuiicere) July 19, 2020
職場の同僚・上司・部下
夜逃げですから会社にも黙って辞めることになります。
仕事は中途半端な状態で放り出すことになりますし、得意先にも迷惑をかけることになるのです。
会社の同僚は何か事件があったのかもしれないと思って、心配になっている可能性もあります。
でも、職場に連絡することはできません。
お世話になった人たちにお礼を言うこともなく去っていかなくてはならず、そのうえ仕事の後始末までさせることになるのです。
大家・管理会社
部屋にほとんどの荷物を残して夜逃げすることになるので、住んでいた家には家具や家電などが残ったままになります。
大家さんにしてみれば、勝手に処分することもできないので半年から1年は保管しておかなくてはいけません。
処分するにしても裁判所に提訴する必要があります。
しかも保証人なしだった場合には未納分の家賃を回収することもできないのです。
このように、いろいろと親切にしてくれた大家さんに対しても迷惑をかけることになります。
夜逃げしてもすぐに見つかるケースが多い
そもそも夜逃げの成功率は低く、すぐに見つかってしまうケースがほとんどです。
前述したとおり夜逃げをすると住民票が移動できないため、かなり過酷な生活を強いられてしまいます。
とくに借金を原因とした場合の夜逃げは、債務者の捜索に慣れた債権者が全力であなたを探すことになるため、逃げきることは非常に困難です。
夜逃げが失敗する5つの要因
夜逃げが見つかってしまう具体的な要因には、以下のようなものがあります。
- 住民票を移してしまう
- スマホのGPSを辿られる
- SNSの投稿から居場所を特定される
- 郵便物の転送設定で住所を特定される
- 戸籍附票で居場所を特定される
少しの不注意や「これくらい大丈夫だろう」という気の緩みから居場所が特定されてしまうのです。
それぞれの要因について詳しくみていきましょう。
1. 住民票を移してしまう
夜逃げが失敗に終わる最も多い要因は、生活の過酷さに耐えきれず住民票を移してしまうことです。
借金が原因で夜逃げをした場合、債権者は住民票を確認できるため住民票を移せません。
また、周辺の住人や債権者などからの連絡により元の住所にはすでに居住していないことを市区町村が確認すると、住民登録は抹消されてしまいます。
つまり、ご自身も家族も住民票がない状態になるのです。
この状態では健康保険が使えない・就職ができないなど、生活していく上で困ることが多数でてきます。
このような状況に耐えきれず住民票を移したことで、夜逃げ後の所在がバレてしまうことが多いです。
2. スマホのGPSを辿られる
最近ではスマホのGPSを辿られて夜逃げに失敗するケースも多いです。
スマホにはほぼすべての端末にGPSが内蔵されており、居場所を特定することができます。
借金する際に連絡先として携帯電話番号を教えている人も多いはずです。
そのため、スマホにGPSが内蔵されていることを知らずに持ち歩いてしまうと、GPSを辿られて居場所がバレてしまいます。
3. SNSから居場所を特定される
SNSの投稿にも注意が必要です。
SNSの中には、GPSと連動するサービスを提供しているものも多く、SNSへの投稿をきっかけに居場所が特定されることも増えています。
また、SNSに投稿した写真や動画に位置情報が記録されていて、そこからバレることもあります。
人間関係をいくら断つといっても、どうしても人との関わりは求めてしまうもの。
匿名だからと安心していても、小さなきっかけで特定されてしまうこともあるのです。
4. 郵便物の転送設定で住所を特定される
郵便物の転送設定をしたことで住所を特定されることもあります。
転送設定されている住所に簡易書留で郵便物を送付すると、新住所が記載された状態で送り主に郵便物が戻されるため、住所が特定されてしまうのです。
夜逃げ先でも、生活していく中で郵便物が必要となることもあるでしょう。
ほとぼりが冷めたと思って転送届を出してしまうと、それをきっかけに住所がバレてしまうことがあります。
5. 戸籍附票で居場所を特定される
戸籍附票で居場所を特定されることもあります。
戸籍附票とは、戸籍登録してから現在までの住所地の履歴が記されている書類のことです。
通常、戸籍に関する情報は親族や同一世帯の人以外は見られませんが、住民票同様に、債権者はこの情報を確認する権利を持っています。
開示請求すれば、住民票同様に確実に居場所が特定されてしまうのです。
住民票や戸籍附票は、債務者の居場所を特定する有効な手段としてよく使われる手法であり、常に確認されているものです。
これらの移動があった時点で居場所はバレると考えておくべきでしょう。
夜逃げは最大15年間逃げないといけない
たとえすぐには居場所がバレなかったとしても、その後15年間は過酷な生活を送りながら逃げ続けなければいけないという現実もあります。
不便な生活も借金の時効が成立するまでの5年だけだと考えている人もいるようですが、お金を貸した人が裁判所経由で返済請求をした場合には、時効が10年伸びてしまいます。
このため、夜逃げをした場合には15年間も不便な生活を続けなくてはいけません。
夜逃げすると結婚、離婚、出産、葬式などの手続きができません。
目立つようなことはすべて控えなくてはいけませんし、親が危篤になっても会いに行けません。
5年ならなんとか耐えられる人でも、15年となると精神的にかなり厳しい状態になります。
自分1人ならなんとかなっても、家族がいたらとてもじゃないですが耐えられません。
耐えられなくなって住民票を動かしたら、すぐに借金の取り立てが始まります。
夜逃げをしても、実際に15年間逃げ続けられる人はほとんどいないでしょう。
夜逃げが見つかったときのデメリット
夜逃げが見つかったときのデメリットにはさまざまなものがありますが、とくに大きいのは以下の2点です。
- 借金が膨れ上がる
- 人間関係が破綻する
夜逃げが見つかれば、借金の取り立ては再開されます。
逃げている間にも利息は積み重なっていきますし、加えて遅延損害金が加算されるため、借金はどんどん膨れ上がっていくのです。
この状態で見つかってしまえばさらに深刻な状態になった借金を背負い、生活が破綻に追い込まれてしまいます。
また運良く逃げ切れたとしても、友人・知人など、これまで築き上げてきた人間関係はすべて捨てることになるでしょう。
また一緒に夜逃げをした家族や、返済を請求された連帯保証人との信頼関係も完全に破綻します。
仕事でこれまで積み上げたキャリアもすべて無駄になってしまいます。
夜逃げとはまさにこれまでの人生で積み上げたものをすべて捨ててしまう覚悟が必要といえるほど、デメリットの大きなものなのです。
そこまでして夜逃げをするべきかどうかは、今一度よく考えてみてください。
借金問題は夜逃げをしなくても解決する方法があります。
どのようにすれば借金問題を解決できるのか、次章で詳しくご紹介していきます。
夜逃げするくらいなら弁護士に相談を
すべてを捨てて夜逃げをする覚悟があるなら、逃げるのではなく弁護士に相談しましょう。
その弁護士に相談するお金がないという人もいるかもしれませんが、その弁護士費用も含めて、弁護士に相談をおすすめする理由についてご紹介していきます。
債務整理で借金問題は解決する
金融機関から借りているにしても、闇金業者から借りているにしても、弁護士に債務整理をしてもらうことで借金問題は解決します。
債務整理には大きく分けて3種類があります。
自己破産 | 自己破産は借金を完全にゼロにする方法で、それと引き換えに資産も失います |
民事再生 | 民事再生は持ち家などの資産を維持しながらも、借金を最大1/10まで減らすことができます |
任意整理 | 任意整理は毎月の返済額や金利を調整して、借金を返済可能な状態に調整してもらえます。 |
弁護士は収入や資産の状況から、最適な債務整理方法を提案してくれます。
どうやっても返済できない借金があるなら、自己破産をすることですべてをリセットできます。
資産を失うことになりますが、夜逃げをする必要もなく借金返済に追われることもなくなります。
しばらくはクレジットカードを作れなくなりますし、お金を借りることもできなくなりますが、夜逃げするときの不便さと比べれば雲泥の差です。
夜逃げをするくらいなら、弁護士にお願いして借金問題を解決してもらいましょう。
弁護士費用は分割払い・後払いOK
弁護士にお願いすればいいといっても、お金がないと相談できないじゃないかと思うかもしれません。
でも借金問題を得意としている弁護士は、そんなことは承知していますので、初回の相談は無料で引き受けてくれます。
そして、実際にかかる費用に関しても分割払いや後払いで対応してくれます。
借金問題を解決するために借金をするなんて必要はなく、その人の収入状況から無理のない返済方法を提案してもらえますので、安心して相談に行ってください。
まとめ:夜逃げにメリットはひとつもない!
夜逃げをするとすべてをリセットできるような気がしますが、残念ながらすべてをリセットするまでには15年の期間がかかり、さらには住民票を動かせないということから、あたり前に受けられるサービスを受けることができなくなります。
さらには親や職場の人、大家さんにも迷惑を掛ける事になり、保証人になってくれた人がいた場合には、借金の請求が保証人にいくことになります。
このように、夜逃げすると多くの人に迷惑をかけ、さらには自分自身も不便な思いをしながら生活を送ることになります。
夜逃げをすることにメリットはまったくありませんので、夜逃げをするくらいなら弁護士に相談して、債務整理によって借金問題を解決してもらいましょう。
借金を踏み倒すことはできるか気なっている方はこちらの記事もご確認ください。